検証

「皇室典範に皇位継承の順位は定められていない」は誤り

検証した主張

「皇室典範には皇位継承の順位が定められておらず、誰が継承するかは時の政府や宮内庁の判断で決まる」

言説の出どころ

広く流布皇位継承をめぐる議論のなかで繰り返し現れる説明で、出どころを一つに絞れない。

判定誤り

主張の中心部分が事実に反する。

三行でわかる

  1. 皇室典範第二条が第一順位から第七順位までを明文で列挙している
  2. 第三項が「長系を先にし、同等内では、長を先にする」と補っている
  3. 政府や宮内庁が順位を個別に判断できる法令上の根拠はない

言説の内容

「皇位継承の順位は法律で決まっていない」「実際には政府や宮内庁の裁量で決まる」という説明が、皇位継承をめぐる議論の中で見られます。順位に法的根拠がないという前提に立って、順位の変更が容易であるかのように述べる形をとることがあります。

確認できること

皇室典範第2条第1項は、継承順位を7号にわたって列挙しています。

皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。

一 皇長子 二 皇長孫 三 その他の皇長子の子孫 四 皇次子及びその子孫 五 その他の皇子孫 六 皇兄弟及びその子孫 七 皇伯叔父及びその子孫

同条第2項は、これらに該当する皇族がいない場合の扱いを定めています。

前項各号の皇族がないときは、皇位は、それ以上で、最近親の系統の皇族に、これを伝える。

第3項は、順位が並ぶ場合の優先を定めています。

前二項の場合においては、長系を先にし、同等内では、長を先にする。

また第1条が継承資格を「皇統に属する男系の男子」に限定しています。資格要件と順位規定を組み合わせれば、順位は条文への当てはめによって一義的に定まります。

確認できないこと

政府または宮内庁が個別の判断によって継承順位を決定できるとする法令上の根拠は確認できません。皇室典範は法律であり、その内容を変更するには国会での法改正が必要です。

判定の理由

主張の中心である「皇室典範には順位が定められていない」という部分が、条文の存在によって直接否定されます。したがって判定は「誤り」です。

なお、順位が法律で定まっていることと、その内容が妥当かどうかは別の論点です。制度をどう改めるべきかという議論は成り立ちますが、その議論は「順位規定が存在する」という前提の上で行われます。条文の解説は皇位継承の資格と順位はどう定まっているかにまとめています。

出典

  1. 〔法令〕皇室典範(昭和二十二年法律第三号)e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日

    皇位は、左の順序により、皇族に、これを伝える。一 皇長子 二 皇長孫 三 その他の皇長子の子孫 四 皇次子及びその子孫 五 その他の皇子孫 六 皇兄弟及びその子孫 七 皇伯叔父及びその子孫(第二条第一項)

  2. 〔公式発表〕関係法令宮内庁 確認日

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