制度解説

2026年の皇室典範改正で変わること・変わらないこと

三行でわかる

  1. 令和八年法律第六六号。2026年7月24日に公布され、10月24日に施行
  2. 柱は内親王・女王の婚姻後の身分保持と、皇族の養子縁組の二つ
  3. 継承資格を定める第一条は改められておらず、男系男子のまま

「皇室典範等の一部を改正する法律」は2026年7月17日に成立し、7月24日に令和8年法律第66号として公布されました。一部の規定を除き、公布から3か月を経過した日、すなわち2026年10月24日に施行されます。

現行の皇室典範は1947年に施行されました。上皇陛下の退位は一代限りの特例法によって実現したもので、皇室典範の本則そのものを改める措置ではありませんでした。今回の改正は、本則の実質的な変更としては施行以来初めてのものにあたります。

改正の柱は二つ

内閣法制局が公表している法律案の提出理由は、改正の内容を次のように示しています。

天皇及び皇族以外の男子と婚姻した内親王及び女王が皇族の身分を離れないこととするとともに、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王が皇室典範による皇族男子であった者の嫡男系嫡出の子孫である現に皇族でない男子を養子とすることができることとし、当該養子が皇族となることとする等の措置を講ずる必要がある。

前半が第一の柱です。改正前は、内親王・女王が天皇および皇族以外の男性と婚姻すると皇族の身分を離れることになっていました。改正後は、婚姻によって身分を離れることがなくなります。

後半が第二の柱です。親王・親王妃・内親王・王・王妃・女王が、「皇室典範による皇族男子であった者の嫡男系嫡出の子孫である現に皇族でない男子」を養子とすることができるようになり、その養子は皇族となります。報道でしばしば「旧宮家の男系男子」と表現されるのは、この条件に該当し得る範囲を指したものです。

皇位継承資格を定める第1条は変わっていない

改正法は、皇位継承の資格を「皇統に属する男系の男子」と定める第1条を改めていません。継承順位を列挙する第2条も同様です。

したがって次の点は改正後も変わりません。

  • 内親王・女王に皇位継承資格は与えられません。婚姻後も皇族の身分を保持することと、皇位継承資格を持つことは別の話です。
  • 女性天皇・女系天皇を認めるかどうかは、今回の改正の対象外です。

養子となった本人にも皇位継承資格は与えられません。一方、養子縁組の後に生まれた男系の男子には皇位継承資格が認められる旨が法律に明記されており、この点は国会審議で意見が分かれた論点です。2026年7月17日の記者会見でも、記者から「立法府の総意には無かった」点として質問が出ています。

「皇族数の確保」と「皇位継承資格者の確保」は別の問題であり、今回の改正は主として前者に対応するものです。

ここに至る経緯

改正までの流れは公的な記録で追うことができます。

  1. 2017年6月、天皇の退位等に関する皇室典範特例法が成立。衆参両院がそれぞれ附帯決議を行い、安定的な皇位継承の検討を政府に求めました。
  2. 2021年、内閣官房の「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に関する有識者会議」が報告を取りまとめました。
  3. 2022年1月12日、内閣総理大臣から両議院正副議長に検討結果が報告され、立法府側の議論が始まりました。
  4. 衆参正副議長の下、各党・各会派による全体会議が計10回開かれ、「衆参正副議長による議論のとりまとめ」がまとめられました。
  5. 2026年6月10日に「とりまとめ」が政府に示され、6月30日に閣議決定・国会提出(第221回国会 閣法第64号)。7月17日に成立しました。

法案提出から成立までの審議期間が短かったことについては、拙速との批判も出されています。

このページで確認していない事項

以下は報道では触れられていますが、本記事の執筆時点で法律本文および政府公表資料による裏づけを取れていません。断定を避け、確認できた段階で追記します。

  • 養子となり得る者の年齢や家族関係に関する具体的な要件
  • 制度の見直し時期に関する規定の詳細
  • 婚姻後も皇族の身分を保持する内親王・女王の配偶者および子の取扱いに関する運用

条文そのものは、施行日以降にe-Gov法令検索で改正後の皇室典範として確認できます。

出典

  1. 〔法令〕皇室典範(昭和二十二年法律第三号)e-Gov法令検索(デジタル庁) 確認日
  2. 〔公式発表〕皇室典範等の一部を改正する法律案(第221回国会 閣法第64号)内閣法制局 確認日

    天皇及び皇族以外の男子と婚姻した内親王及び女王が皇族の身分を離れないこととするとともに、(中略)現に皇族でない男子を養子とすることができることとし、当該養子が皇族となることとする等の措置を講ずる必要がある。

  3. 〔公式発表〕皇室典範改正の法案成立等についての会見(令和8年7月17日)内閣官房内閣広報室(首相官邸) 確認日

    本日、「皇室典範等の一部を改正する法律」が成立しました。

  4. 〔公式発表〕「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議内閣官房 確認日
  5. 〔議事録〕天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応について参議院 確認日